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パナマ文書とタックスヘイブン

パナマ文書という言葉が世間を騒がせています。パナマ文書の流出により、タックスヘイブンという言葉を多く見聞きするようになりました。その多くは、「お金持ちが税金を払っていないんだ!」という感情論に基づいた議論のように見えます。私はオフショア取引を多く取り扱っている人間ですので、そのような感情論に違和感を感じます。巨大なお金が動くグローバル取引の端っこにいる人間として、わかる範囲でいくつかのことを紹介したいと思います。

 <タックスヘイブンの定義>

まずは”タックスヘイブンとは何か”です。タックスヘイブンとは、Tax havenであり、直訳すると”税の避難所”です。”税金天国(Tax heaven)”ではないんですね。

タックスヘイブンですが、OECDが公表した”有害な税の競争(Harmful tax competition)”に、OECDが考えるタックスヘイブンの定義が載っています(P24)。

http://www.oecd.org/tax/transparency/44430243.pdf

  1.  税金がない、または名目的な税金しかない(No or only nominal taxes)
  2. 税務署から情報を隔離することができる(Lack of effective exchange of information)
  3. 透明性がない(Lack of transparency)
  4. 本質的な事業活動を行っていない(No substantial activities)

つまり税率が低いことのみならず、税務当局が機能していないため、税金を払う必要がない国や地域です。しかも秘匿性が高く、実態がよくわからないというのがもう一つの特徴だと言えるでしょう。

 <タックスヘイブンはどのような国?>

ではどのような国が、タックスヘイブンなのでしょうか?OECDでは2000年からブラックリストを公表しています。以下の国々が掲載されています。

  1. バハマ
  2. ケイマン諸島
  3. クックアイランド
  4. ドミニカ
  5. イスラエル
  6. レバノン
  7. リヒテンシュタイン
  8. マーシャル諸島
  9. ナウル
  10. パナマ(!)
  11. フィリピン
  12. ロシア など2000年公表のものから一部抜粋

2000年の時からパナマはタックスヘイブンとされていました。

 <タックスヘイブンはお金持ちのためのもの?>

では、タックスヘイブンというのは、お金持ちのためだけに存在しているのでしょうか?そのヒントとなるのが、JETROが公表している対外国別投資統計です。

https://www.jetro.go.jp/world/japan/stats/fdi.html

ケイマン諸島は、古くからタックスヘイブンとして有名ですが、ケイマン諸島への日本からの直接の投資額は、4,199百万ドル(約4600億円)です。これはタイやインドネシアへの投資額より多く、中国への投資額の半分となっています。ケイマン諸島は日本からの投資が多い国のトップ10に入ります。ケイマン諸島は知名度は高くないですが、実は、日本とケイマン諸島というのは密接に関連しています。タックスヘイブンというのは、遠い国でお金持ちだけが使っている場所ではないのです。我々の身近にタックスヘイブンがあるんですね。

 


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