ページの先頭です

海外親会社が発行したストックオプションについての税務処理

弊社では外資系日本法人を多く担当させていただいておりますが、最近海外のコントローラの方から問い合わせが増えているものがあります。

 

それは、”海外親会社で発行したストックオプションに係る株式報酬費用のうち、日本法人に対応する分を日本法人のPLに計上したい”というものです。海外親会社で発行したストックオプションを日本法人勤務者に付与している場合、そのストックオプションに係る株式報酬費用は日本法人の帳簿に給与相当のものとして計上すべきだということですね。

 

IFRSではそのような費用負担が求められていますので、IFRSに従って会計帳簿を作成している会社においては、そのような処理を求めるのが最近問い合わせが増えている背景でしょう。日本の会計基準においても、子会社の役員や従業員にストックオプションを付与した場合には、そのストックオプションに係る株式報酬費用は、子会社に負担させることになっていると理解しています。

 

日本の税務上はどのような取扱いになるのでしょうか。

ストックオプションに係る株式報酬費用については、法人税施行令54条(新株予約権を対価とする費用の帰属事業年度の特例等)が参考になります。施行令54条では、ストックオプションに係る株式報酬費用は、付与時においては損金不算入、行使時において給与として損金算入(ただし給与課税されるのであれば。税制適格ストックオプションであれば、永久に損金不算入)、という取り扱いになっています。

 

海外親会社で発行したストックオプションは、日本の税法上の税制非適格ストックオプションでしょうから、上述法人税施行令54条が参考になりますが、一つ問題があります。法人税施行令54条では、”内国法人が(中略)新株予約権を発行したときは”となっており、海外親会社、すなわち外国法人が発行したストックオプションは対象になっていません。外国法人についてよくあるいわゆる”読み替え規定”も存在しません。つまり外国法人が発行したストックオプションに係る株式報酬費用の取り扱いについて明文規定がないという問題があります。

 

もちろん立法趣旨を鑑みれば、法人税施行令54条に準じた処理をするものと想像します。しかしながら、実務上、損金算入の額の算出が困難であるケースも多いです。例えば、海外親会社から出向してきた従業員(いわゆるExpat)が、日本で勤務中にストックオプションを行使した場合、その従業員に係るストックオプション行使益の全額が給与課税されるわけではありません。であれば、給与課税を要件に損金算入を認める法人税施行令54条を考えれば、その個人分のストックオプションの株式報酬費用のうちの損金算入額を、正確に把握するのは困難でしょう。

 

理論上はわかるのですが、実務上の対応が難しいところです。


アーカイブ

著書紹介