ページの先頭です

マネーフォワード社の有価証券報告書を読んで

会計事務所業界にもクラウド化の波が押し寄せており、クラウド型会計ソフトを無視して経営するわけにはいかない状況です。そのクラウド型会計ソフトの一角、マネーフォワード社が東証マザーズに上場すると聞いて、有価証券報告書を興味深く読ませていただきました。

新規上場申請のための有価証券報告書(1の部)

http://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/nlsgeu000002mwbe-att/09MoneyForward-1s.pdf

私のような税理士の視点で、読んだ際に思ったことを簡単にまとめました。

 

1.キャッシュフローの大幅なマイナス

上場直前事業年度で売上15億、マイナス8.8億の純損失、営業キャッシュフローは7.1億のマイナスとなっています。その前の事業年度の売上が4億なので、売上がほぼ3倍になっています。もしかしたら、今の進行期は単年で見れば、プラスマイナスゼロくらいまでになっているのかもしれませんね。そのような成長性が認められて、上場が承認されたのだろうと思います。

 

“Fintech”という時代のキーワードに合致してるプロダクトですが、我々会計事務所の人間から見れば会計ソフトなので、会計事務所のインフラとして未来永劫24時間365日、普通に動いていてほしいです。そのためには安定した財務基盤を、早く築いてほしいと思います。(できれば値上げしないで…)

 

2.特定の税理士に対するストックオプションの付与

社外協力者にストックオプションを付与していると見て、誰かと思えば税理士30~40名個人でした(P134あたりにあります)。有名な大手会計事務所の代表の方など、我々の業界では一度は名前を拝見したことがある税理士の方も多数おられました。

 

公認メンバー制度というのがあって、一定の要件を満たせば、顧客の紹介などのサービスを受けることができます。顧客紹介のみならず、そのメンバー制度の様々な施策についての公平性というのに以前から疑問を持っていました。おなじ公認メンバーとして同じ金額の年会費を払っているはずだけど、公平じゃないんじゃないかと、担当していただいている方にも質問したことがありました。

 

会社としては、ある程度の規模感のある会計事務所にストックオプションを付与して、MFクラウドにコミットしてもらうということは理解できます。ただストックオプションは所長個人に付与されていますので、所長のため(?)に、顧客の会計情報をMFクラウドに移行する作業をしたその事務所の従業員はどう思うのだろうと想像します。もちろん社外の人なので税制非適格でしょうし、金額的にも一部を除いて大きくないので、実際の経済的な利益はたいした金額ではないのだろうとは思います。ただ、我々のような規模のない会計事務所が、このような会計ソフトベンダーと付き合う距離感の難しさというのを感じた次第です。

 

私は以前外資系ソフトウェアメーカーに勤務していて、パートナー企業様を担当していた時期がありました。パートナー企業の合理的な公平性ということについて、非常に注意してました。公平性を担保するということは非常に難しいことは理解していますので、その点が気になりました。

 

もちろん設立5年で上場するということは、すごいことです。MFクラウドも気に入って使っています。ますます成長して、安定して使えるようになっていってほしいと思います。

 


アーカイブ

著書紹介