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士業の存在意義

先日、非常に残念なことではありますが、従業員が退職しました。税理士法人を設立してはじめての退職であり、退職の手続きを自分自身が行うのははじめてでした。

 

従業員というのは仲間であり、共通の目標を達成するための同志でした。しかしながら、退職届を提出されてからは、経営者と従業員は仲間ではなくなり、全く立場が異なるものになりました。時と場合によっては、経営者と従業員は180度相対する存在になります。知識としてはありましたが、仲間ではなくなるということを十分に理解することができず、結果として従業員には迷惑をかける部分が出てしまいました。経営者としての経験不足もあったと思います。

 

また従業員は、退職に関しては、労働法制上、その立場が非常に守られています。逆に経営者は守られていないというのが実際です。はじめてそのようなことを真面目に考えてみて、非常に不合理に思いました。先輩の税理士の先生たちがよく「従業員を頑張って育てて、一人前になったタイミングで退職してしまう」というようなことをおっしゃっていましたが、そのことを実感しました。本当に仕方がないことなのかな、と。

 

退職届を提出されてからは随分と悩みました。その時に、弊社の労務を見てもらっている社会保険労務士の先生に話したところ、随分と親身に相談にのってもらいました。その知識や言葉にすごく救われましたところが多かったです。

 

現在はクラウド会計の時代です。税理士がいなくとも税務申告までできるようになっています。給与計算も同じです。クラウドのシステムを使うことによって、社会保険の手続きまで自分でできてしまいます。起業家の方と話をすると、”SmartHRなどを使えば社労士はいらないですよね”、などと言われることが最近多くなりました。そのこと自体は間違いではありません。

 

ただ、いま考えると、そこにクラウド時代の専門家の存在意義があるんだろうと思います。自分が経験したことがない修羅場が訪れたときに、頼りになるのはクラウドやAIではありません。知識や経験のある専門家です。経営者の立場を理解して、親身に対応してくれる専門家が身の回りにいることこそ、会社を経営していくうえで必要なのだろうと実感しました。

 

その社会保険労務士の先生の対応を見て、経営者の方がお金に困っている際には、我々も親身に対応していくという想いを強くした次第です。そして私たち自身も、いろいろ考えたり、悩んだりした経験を通じて、よりよいサービスを提供していくことができるんだろうと信じています。

(なお退職の理由ですが、残業代未払いなどではありません。その従業員は、ほぼ残業はさせていませんでした。おそらくブラック企業ではありません(笑))

 


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