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税理士によるクラウドファンディングの体験談

クラウドファンディング(crowd funding)という言葉をご存知でしょうか?つい最近、とあるマイナースポーツの支援活動として、クラウドファンディングに接する機会がありました。非常に画期的なシステムだと思う反面、大きな問題もあるように感じました。特に財務やファイナンスの面から見た問題点を紹介しておきたいと思います。

クラウドファンディングとは何かということですが、Wikipediaによると以下の通りです。
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クラウドファンディングは資金提供者に対するリターン(見返り)の形態によって大別される。金銭的リターンのない「寄付型」、金銭リターンが伴う「投資型」、プロジェクトが提供する何らかの権利や物品を購入することで支援を行う「購入型」がある。[9] 日本においては資金決済に関する法律等によって個人間の送金や投資が制限されていることから、購入型のクラウドファンディングが普及している。また、ソーシャルレンディングと言われる個人から少額の資金を募り投資を行うモデルも、近年は投資型クラウドファンディングと位置づけられ、クラウドレンディングとも通称され、国内では既に60億円近い実績がある。
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今回私が経験したのは、「購入型」です。提供される資金の額に応じて、出資者に提供されるメリット(「リターン」と言います)が異なります。

<税務上の取り扱い>
「購入型」の場合、税務上は寄附に当たりません。したがって寄付金控除の対象にはならないです。

<クラウドファンディングの難しさ>
クラウドファンディングのプロジェクトを開始する際に、調達したい資金の額をまずはじめに設定しなければなりません。その設定した金額を、期限内に集めることができなければ、そのプロジェクト自体がなかったことになってしまいます。募集希望額が30万円で、最終的に29万円しか集まらなければ、その29万円はもらえるわけではなく、出資者に戻されるという仕組みです。

まず「調達したい金額」と「募集期間」の設定が非常に難しいのです。

<ファイナンスの観点>
次に、募集希望金額を満額達成することができたとしましょう。その際には運営会社に20%の手数料が発生し、その残りを受け取ることができます。またその場合、出資者はリターンを受け取ることができますが、そのリターンも準備しなければなりません。出資者はそのリターンを購入する意識なので(決して寄附するという意識ではない!)、例えば出資額が1万円であれば、せめて時価で3千円~5千円程度のリターンを用意しておかなければなりません。

つまり資金を得るためには、「手数料」+「リターン」がコストとして発生することになります。感覚的には、手数料20%+リターン30%で合計50%です。

ファイナンスでは資本コスト(または資金調達コスト)という考え方があります。借入で銀行金利程度、資本であれば10~25%というところかと思いますが、クラウドファンディングはそれをはるかに超える資本コストを要することになります。

銀行借り入れは難しく、かつエクイティファイナンスができない場合には、クラウドファンディングは非常に有益です。今回のマイナースポーツの支援などはまさにそれです。ただし資金調達コストは非常に高いことがデメリットです。

資金調達コストを少しでも下げるために、魅力的でかつコストの安いリターンを準備することが重要になります。将来的には、クラウドファンディングが広く一般的になることによって、手数料が引き下げられることが必要になるでしょう。

<最後に>
また財務やファイナンスには関係ないですが、クラウドファンディングは広くSNSなどを通じて周知されますので、「あの会社お金ないみたいよ」的なあらぬ風評被害が発生するとも聞いています。非常に難しいなと感じた次第ですが、でも新たなお金の流れを作るという意味では意義のあることだと考えています。今回の経験を通じて、今後もクラウドファンディングを通じた支援を行っていければと考えおります。


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